Cloudflare Workers へのデプロイ
Guren は @guren/plugin-cloudflare を通じて Cloudflare Workers 上で動作し、データベースには D1 を使います。このガイドでは、まっさらなアカウントからデプロイ完了までを一通り扱います。
Cloudflare Workers へのデプロイ
Guren は @guren/plugin-cloudflare を通じて Cloudflare Workers 上で動作し、データベースには D1 を使います。このガイドでは、まっさらなアカウントからデプロイ完了までを一通り扱います。
Workers は常駐サーバーとは形の違うランタイムです。ファイルシステムがなく、リクエスト間でメモリを共有せず、CPU 時間はミリ秒単位で区切られています。このガイドの大部分は、その違いがアプリの設定に影響する数か所についての説明です。
インストール
bunx guren plugin @guren/plugin-cloudflare
bun add @guren/plugin-cloudflare
プラグインは cloudflare:build コマンドを登録し、初回ビルド時に wrangler.jsonc を生成します。
ビルドとデプロイ
bunx guren cloudflare:build
bunx wrangler deploy
cloudflare:build はアプリの build スクリプトを実行したあと、ワーカーのエントリポイント・静的アセット・平坦化したマイグレーションを含む .cloudflare/ ディレクトリを組み立てます。古いワーカーをデプロイしてしまわないよう、両方を 1 つのスクリプトにまとめておきましょう。
{
"scripts": {
"cloudflare:build": "bun run build && bunx guren cloudflare:build --skip-app-build",
"deploy:cloudflare": "bun run cloudflare:build && bunx wrangler deploy"
}
}
Important
.cloudflare/ は生成物です。.gitignore に追加し、デプロイのたびに作り直してください。他のどこからも参照されないため、古いままだと気づかずに古いコードがデプロイされます。
データベース(D1)
データベースを作成し、その ID を wrangler.jsonc に記録します。
bunx wrangler d1 create my-app
{
"d1_databases": [
{
"binding": "DB",
"database_name": "my-app",
"database_id": "<wrangler が出力した ID>",
"migrations_dir": ".cloudflare/d1-migrations"
}
]
}
ドライバはランタイムによって config/database.ts で切り替えます。D1 は SQLite 互換なので、スキーマは SQLite のダイアレクトで書き、開発時はローカルの SQLite ファイルを使います。
import { createD1Database, createSqliteDatabase } from '@guren/core'
import { getWorkersEnv } from '@guren/plugin-cloudflare'
interface WorkersEnv {
DB: unknown
}
function isWorkersRuntime(): boolean {
return typeof navigator !== 'undefined' && navigator.userAgent === 'Cloudflare-Workers'
}
const database = isWorkersRuntime()
? createD1Database({ binding: () => getWorkersEnv<WorkersEnv>().DB })
: createSqliteDatabase({
migrationsFolder: new URL('../db/migrations', import.meta.url),
filename: () => process.env.SQLITE_DATABASE_PATH ?? './data/guren.db',
})
export const { getDatabase, configureOrm, seedDatabase } = database
バインディングは値ではなく解決関数として渡します。バインディングはリクエストが届いて初めて存在するため、遅延して読み取る必要があります。
マイグレーションの適用
マイグレーションはアプリの外側で適用します。Workers 上でアプリが自分でマイグレートすることはありません。
bunx guren cloudflare:build # .cloudflare/d1-migrations を再生成
bunx wrangler d1 migrations apply my-app --remote
Warning
先にビルドしてください。migrations_dir は生成ディレクトリの中を指しているため、空のフォルダを見つけた wrangler は「適用するマイグレーションはありません」とエラーではなく正常終了で報告します。ビルド前に適用してしまうと、失敗が成功のように見えます。
モデルの初期化では、ファイルシステムの確認を Workers 上では飛ばします(確認する対象が存在しないため)。
export async function bootModels(): Promise<void> {
await configureOrm()
if (!isWorkersRuntime()) {
await seedDatabase()
}
}
セッションと OAuth state はデータベースに保存する
これは好みの問題ではありません。各リクエストは別々の isolate に到達しうるうえ、isolate 同士はデータベース以外に何も共有しません。メモリ実装のままでもローカルでは動いているように見え、本番でセッションが毎回消えます。
import { createApp, AuthServiceProvider, DatabaseSessionStore } from '@guren/core'
import { sessions } from '../db/schema.js'
const app = createApp({
providers: [AuthServiceProvider],
auth: {
autoSession: true,
sessionOptions: {
store: new DatabaseSessionStore(sessions),
cookieSecure: true,
},
},
})
OAuth も同様です。認可へのリダイレクトと、そこから戻ってくるコールバックは別の isolate に届くのが普通なので、両者を結びつける state は共有された場所に置く必要があります。
import { createOAuthManager, DatabaseOAuthStateStore } from '@guren/core'
import { oauthStates } from '../db/schema.js'
const oauth = createOAuthManager({
stateStore: new DatabaseOAuthStateStore(oauthStates),
})
どちらのストアもテーブルを必要とします。スキーマは認証ガイドを参照してください。
シークレット
APP_KEY は必須です。セッションと CSRF の署名に使われ、これが無いとワーカーは起動時に例外を投げます。リクエストを 1 件も処理しないまま落ちます。
bun -e "console.log('base64:'+Buffer.from(crypto.getRandomValues(new Uint8Array(32))).toString('base64'))" | bunx wrangler secret put APP_KEY
アプリが読む他の値(OAuth の認証情報、API キーなど)も同じ方法で設定します。wrangler secret put で設定した値は実行時に process.env.* から参照できます。wrangler.jsonc の vars に書いてよいのは、秘密でない値だけです。
無料プランの制限
アプリの設計に影響する制限が 2 つあります。
| 制限 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| ワーカーサイズ | 3 MB(gzip 後) | 生成コンテンツが大きい場合は予算との兼ね合いを検討する |
| リクエストあたり CPU | 10 ミリ秒 | 重い処理はビルド時か保存時に寄せる |
この CPU 制限により、パスワードハッシュは事実上不可能です。意図的に遅くしてある処理を 10 ミリ秒に収めることはできません。無料プランでは、パスワードではなく OAuth による認証を選んでください。フローは認証ガイドを参照してください。
同じ制約は「リクエスト時の仕事を減らす」設計を後押しします。Markdown の変換は読み取り時ではなく保存時に行い、静的なコンテンツはビルド時にレンダリングしておきます。処理内容がどうしても必要とする場合は、有料プランで CPU 制限が緩和されます。
可観測性
Workers は既定ではログを保持しません。本番で問題が起きたときの追跡が非常に困難になります。
{
"observability": {
"enabled": true
}
}
再現しながらリアルタイムで見たい場合は bunx wrangler tail と併用してください。
ローカル開発
wrangler dev はローカルの D1 を相手に実際のランタイムを動かします。Bun の開発サーバーでは検出できないランタイム差異を拾えるため、デプロイ前に一度通しておく価値があります。
bunx wrangler d1 migrations apply my-app --local
bunx wrangler dev
ローカル用のシークレットは .dev.vars に置きます(.gitignore への追加も忘れずに)。
APP_KEY=base64:...
日々の開発では通常の bun run dev の方が速く回せます。wrangler dev は、デプロイ直前や、本番でだけ挙動が違うときに使ってください。
既存アプリの更新
wrangler.jsonc は初回のみ生成され、その後は上書きされません。そのため、プラグイン更新前に作られたアプリは元の設定を保ち続けます。古い設定を検出すると、ビルドが不足している項目を具体的に出力するので、それを追記して再ビルドしてください。
デプロイ後
- Cloudflare のダッシュボードでワーカーに独自ドメインを割り当て、OAuth のコールバック URL も併せて更新します。
- 監視とインシデント対応については本番運用ランブックを参照してください。